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旅とホテルのミニコラム:日常に旅の余韻とヒントを。
変わらない美しさ |ヴォーン
2025.12.26
No.093

記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、カフェカルチャー・キュレーター / MIA MIAオーナーのヴォーンによる、思い出に残る旅の味について。

スパゲッティ・ボロネーゼ、バターをたっぷり塗ったパン、スイカのグラニータ、そしてペレグリーニズ・エスプレッソ・バーのカフェラテ——。

世界には、ペレグリーニズと同じ領域に立つコーヒーショップがほんのわずかしかありません。


今日あなたが食べる一皿が、何世代も前の人々が味わったものと同じであり、そしてあなたがいなくなった後も変わらず誰かが注文し続ける。


そんな“時を超える食卓”を持つ場所。

その魔法の一端は、揺るぎない確かさにあります。


料理はすべて手作りで、紛れもなくイタリアの味。

グラニータのレシピは一度も変わらず、遺産として登録されたネオンサインの下をくぐるたび、そこに息づく儀式のような営みは永遠に続いていくように思えるのです。


そして、もう一方の魔法は、細部に縫い込まれた“癖”にあります。

価格の書かれていない、美しい木製メニュー。

それがまた妙にしっくりくる。


どこもかしこも人であふれ、自分の注文は忘れられたのではと思わせる(実際は決してそんなことはない)。

ふと座れば、予想もしないかたちでキッチンへとつながってしまう席さえある。

著名人も、スーツ姿のビジネスパーソンも、休憩中の学生も、通りからふらりと入ってきた家族連れも——。


誰もが自然とペレグリーニズへ辿り着く。

そして皆が求めるのは、あの愛すべき四重奏。


スパゲッティ、バターを塗ったパン、スイカのグラニータ、そしてカフェラテ。


初めての人には少し不思議な組み合わせに映るかもしれませんが、ひと口ごとに「これでいいのだ」と腑に落ちる、完璧な調和があります。


そして、今もなお、シストを失った悲しみは残っていますが、その息子であるデイヴィッド氏が、変わらぬ愛情と誠実さを持って店を守り続けています。


だからこそ、私たちの胸にある哀しみのなかにも、静かな安堵があるのです。

ペレグリーニズの心臓は、今も変わらず鼓動を刻んでいるのだと。

5年前から続く 『Coffee Time with Vaughan』にて、オーストラリア・メルボルンの名店 Pellegrini’s Espresso Bar とコラボレーションした際の撮影風景。

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Vaughan(ヴォーン)
Vaughan(ヴォーン)
カフェカルチャー・キュレーター / MIA MIAオーナー
メルボルン出身。20年以上にわたり日本各地のカフェを巡り、独自の視点でその魅力を発信してきたカフェ愛好家。2020年に「MIA MIA Tokyo」、2025年に「MIA MIA Kuramae」をオープンし、コミュニティ型カフェの先駆けとして知られている。ファミリーマートやプーマ、無印良品のモデルとしても活動し、テレビや雑誌にも多数出演。自身のブランド「COFFEE TIME WITH VAUGHAN」は伊勢丹、東急ハンズ、ロフトなどで展開されている。常に新旧のカルチャーに敬意を払いながら、コーヒーを軸に人とコミュニティをつなぐ活動を続けている。
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