記憶に残るホテルや、旅先での体験、お土産、忘れられない味などなど・・・。旅にまつわるさまざまな思い出をほぼ毎日更新。本日は、one nova ファウンダー / ディレクターの金丸りりあんによる、旅先での記憶について。
旅とホテルのミニコラム:日常に旅の余韻とヒントを。
いない生活 |金丸りりあん
2025.12.18
No.089

遠くの方へ旅に来た時、私は湯でふやけた皮膚みたいにぼうっとしている。
記憶に残る旅先での風景はうまく伝えられないものばかりだった。
ショッピングモールの広場の子供たちのフラダンスと大人たちのズンバ、
扇風機のぬるい風ではためく手書きの卵の価格表、
木曜14時を伝えるラジオが響く、ほの明るい市場、
街のはずれの飯店の文字のからし色、晴天、たまご色のポロシャツ、
ウォルマートの前の大通りの日差しを舞うごみ袋、
トイレにいくつも貼られた集会、倶楽部、同好会たちの斜めの文字。
ここには私の知らない日々があって、生活があって、果てしない時間が前にも後ろにも続いて伸びている。ひとえに存在する日常を前にすると、安堵に近い喜びが底の方からふくふくと湧いてくる。
もう見ることの出来ない風景を思い出すと、私はまた少し遠くへ行きたくなる。







金丸りりあん
one nova ファウンダー / ディレクター
1999年うまれ。アンダーウェアブランド one nova の ファウンダー / ディレクター。
異国の日常に溶け込むホテル
ローカルを味わえる異国のホテル


